原子力超入門 | 原子力を知識として理解するために | [HOME] |
システム学入門 JAVAというコンピュータ言語をご存知でしょうか。ネットを中心に今非常に注目されているオブジェクト指向言語です。このオブジェクト指向。じつは産業界では何十年も昔から実現されていたことです。 オブジェクト指向的に原子炉を考えると
受け取るものと出すものが分かっていれば、その間に何をしても良いという思想がオブジェクト指向です。循環ポンプを効率の良いものに勝手に変えたとしても、出て行く水が以前と同じであれば原子炉は正常に機能します。一次冷却水が配管の中を流れている限り、二次冷却水で放射能について考慮する必要はありません。このように原子力発電所の各機器は、それぞれ自分のことだけを考えていれば安全に安定して稼動しますし、他に影響や依存をしないように分担設計する技術者がよい設計者であると言えます。 では、オブジェクト指向ではない技術とはどのようなものでしょうか。じつは、身近なところに存在します。 オブジェクト指向ではない動力炉 例えば自動車のエンジンはどのように動いているでしょうか。2サイクルエンジンについて説明します。
2サイクルエンジンでは全ての工程をエンジンと呼ばれるひとつの容器の中で行います。このとき、マフラーを軽いものに変えたとします。多くの人は軽量化したから燃費が良くなると考えるかもしれませんが、実際は違います。ただマフラーを変えただけでは燃費は悪くなります。燃やす燃料の量を変更し、爆発させるタイミングをプログラムによって変更して初めて正常に機能するのです。 原子力は全ての機器が連携する巨大システムと説明する専門家が多いのですが、これはまったく本末転倒の説明です。それぞれの機器を独立して設計出来るようになったから、初めて巨大システムを作れるようになったのです。 特筆すべきことは、システムにはルールがあるということです。チェルノブイリではタービンの試験をするために冷却水流量を勝手に減らしたことで事故に至りました。木を見るのが大切か、森を見るのが大切かは不毛な議論です。巨大システムの中では、木を見る人、森を見る人共通にあるルールを確実に守り、自分の仕事を自由かつ着実に達成していくことが期待されています。 |
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