原子力超入門原子力を知識として理解するために[HOME]

政治の絡んだ調査統計を信憑性がないとして遠ざけるのもひとつの生き方かもしれませんが、調査の仕方や、解釈の仕方について知っておくとちょっと違った見方が出来るのではないでしょうか。

調査

直接的調査
(観察・面接)
人は観察やテストされている事がわかると、行動を変えます。これを専門用語でモルモット効果と言います。間接調査と違い、詳細が分かるという利点があります。
間接的調査 あるものの人気について調べたいと思ったとき、本人に質問する必要はありません。そこにやってくる人の数を数えたり、場所であればその付近の汚れ方を見て、どれほど注目されたかを非常に精度よく、定量的に知ることができます。ただし、直接的調査と違い、なぜ興味を持ったのかまで調査することは出来ません。
実験 わざと「さくら」を放つことで、モルモット効果(↑参照)の程度を知ることが出来ます。原子力で言えば、アンケートを取っている前でわざと賛成を訴えたり、反対を訴える人を配置します。平均から個人単独であればどのような判断を下すか、平均からのずれにより説得や会話の影響がどれだけあるかを推測することが出来ます。非常に信頼性の高い方法ですが、実験を行える時間や予算により、対象とする人数が制約されます。

統計

標本調査

あまりにも対象者が多く、全員の意見を聞けないとき、仮定をおき一部の意見で代用することが出来ます。たとえば、選挙では電話調査より対象者が限られる出口調査のほうが高い精度が出ます。

原子力発電所の立地について検討するとき
予定地域の地元住民から無作為に調査する

多様な意見があるため、ばらつきが多いと言う特性があります。同じ質問で、回数を重ねるごとに矛盾が生じる場合もあります。ただし調査結果は立地地域の意思をそのまま反映します。

大学や研究所の研究者から無作為に調査する

意見が一貫しており、ばらつきが少ないと言う特性があります。調査結果は立地地域の意思は反映しません。

質問事項

分からない、無回答の選択儀が増えると精度が出ません。あらかじめ答えを用意しておき、どれほど賛同するかといった形のアンケートのほうが精度が出ると言われています。

あなたは原子力に賛成ですか
記述式の場合「場合によっては賛成」「場合によっては反対」という回答が出る可能性もある。こうした回答は統計になりません。

1.賛成 2.どちらかと言えば賛成 3. どちらでもない 4.どちらかと言えば反対 5.反対

というアンケートのほうが精度が出ます。


解釈

タバコを吸っている人は学力が低いと言う統計があります。しかし、これでは煙草が原因で学力が低くなっているのか、学力が低くいからストレス解消のためにタバコを吸い始めたのかは分かりません。

原子力についも、原発に反対する人が多かったとき、原発を廃止するか、より原発の研究開発を広げるかは、結局読み手個人にかかっています。相手の意見に反対であるがゆえに(実際データを捏造する人も世の中にはいますが)統計の信憑性を否定する人がいます。しかし、まずは統計的に言えることか、その人の意見なのかを区別する目と、データに基づき、筋道だてて自分の意見を言える能力が必要なのではないでしょうか。

参考文献:ブルーム著 今田訳 社会学


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