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ヒートポンプ

昔からある身近なヒートポンプは冷蔵庫が挙げられます。

冷蔵庫では冷たい冷蔵庫の中の熱を外に出すという作業をしています。
 
このような体験は意外と身近にあります。
手に水を塗ると、水は体温で蒸発します。蒸発するときに手の熱を奪い、ひんやりすることは誰しも経験したことがあることでしょう。蒸発するときに奪う熱のことを蒸発潜熱といいます。

ちなみに蒸気が冷えて水に戻るときには凝縮潜熱が与えられます。蒸発潜熱と凝縮潜熱は名前こそ違いますが同じものです。

 
気圧の低い富士山の上では水がどんどん蒸発していくので、
はんごうをどんなに暖めても60℃程度までしか温度があがりません。
蒸発潜熱によって熱が奪われてしまうのです。
逆に、圧力釜は100℃以上になっても沸騰しません。
 
では、4℃で沸騰するくらいまで気圧を下げたとしましょう。
冷蔵庫の中では水がどんどん沸騰して4℃以上には上がりません。
蒸気は蒸発潜熱を冷蔵庫から奪っています。蒸気をそのまま外に運んで、気圧を元通りにすると、蒸気は水に戻ります。このときに凝縮潜熱を出すのです。
 
これを冷蔵庫の中と外で繰り返すと、冷蔵庫の中が冷えることになります。

*なお、水はいくら減圧しても4℃で沸騰させることはできないので、実際には水ではなく、しばしばフロンが使われます。

 
最近ではクーラーを逆向きに動かしてやることで部屋の中を暖めるエアコンが主流になってきました。寒い外の空気で暖かい家の中をさらに温めるという不思議なことをしているのですが、原理はまったく同じです。
 
ヒートポンプは飛躍的に省エネを進めるすることが出来る技術です。ちなみに蛇足ですが、従来、発電所では、タービンを動かして冷えてしまった冷却水は、まだ暖かくても温水のまま捨てざるをえませんでした。現在ではヒートポンプを使って冷たい海水で温めなおし、効率よくエネルギーを使い切ろうという取り組みがさかんになされています。


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