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放射線から身を守る

放射線をさえぎるものは鉛しかないという風説がありますが、放射線や放射性物質を扱う人たちがどのような対策を行っているかをご紹介します。

a線、重粒子線を防ぐ

粒子なので、紙きれ一枚あれば防ぐことが出来ます。したがってa線を出すウランを主に扱う原子力従事者は基本的にナイロン製の防護服一枚で作業を行っています。

b線、電子線を防ぐ 小さな粒子なので、金属板一枚で防ぐことが出来ます。アルミなどが使われます。医療用放射性物質を扱うときは厚さ1cm程度のアクリルの板がよく使われます。
γ線、X線を防ぐ

電磁波です。重い原子ほど吸収しやすいくなってます。一般に鉛が使われます。これは密度が大きく(重い)、放射科学的に安定(核変換を起こしにくい)で、安価であるためです。鉛以外にはビスマスという金属も使われます。

中性子線を防ぐ

物質と作用しにくく、最も遮蔽しにくい放射線です。水で最も効率よく防ぐことが出来ます。コンクリートは丈夫で構造材として使え、さらに水を大量に含むため、よく遮蔽に使われます。

中性子が人体に悪影響を及ぼすといわれる理由は、人体の70%が水で出来ており、中性子をよく吸収してしまうことにあります。核反応が起きなければ中性子線が放出されることはありません。例え核弾頭であっても、核反応が起きている爆発の瞬間以外で問題になることはありません。

・重い粒子の放射線ほど人体へのダメージが大きい=簡単に防げる
・透過性の放射線は人体へのダメージが少ない=防ぎにくい

まとめ

単純に考えれば重く厚い壁ほど放射線はとおりません。ただし、出ている放射線の種類がわかれば、必ずしも重いものを持つ必要はありません。

また、あらかじめ被爆する放射線量がわかっている場合は、放射線を防護するより、多少浴びても早く業務を済ませることの方が体に負担が少ない場合も多くあります。


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