原子力超入門 | 原子力を知識として理解するために | [HOME] |
送電技術 小学校のころ、電球を直列につなぐと明るさが半分になると習ったかと思います。では、なぜ停電が起きてしまうのでしょうか。明るさが半分になって電気がつきつづけるということはないのでしょうか。その原因は交流、直流の違いにあります。ここでは、水の流れにたとえて送電技術を説明します。 直流の場合 水槽の向こうにある水車をまわすにはどうすればよいでしょうか。直感的には水を流せばよいことになります。小学校でもおなじみの直流の考え方です。 のぼりとくだりの二つの流れが必要になりますが、仕組みは単純です。水を流すために、オールをかく人が発電機。水槽が電線ということになります。オールをかいてみましょう。オールの前方の水が高くもりあがり、後ろは下がります。 例えるならば、この水の高さの差が電圧になります。水の速さは水の高さで決まりますが水の高さはオールより高くできません。こうして水車に伝えられるエネルギーにも制限が出てしまいます。 交流の場合 その他に波で水車を動かすという方法があります。 オールの大きさによらず波の高さを変えられるので自由に大量のエネルギーを運べます。荷物を載せたりおろしたりするときに、水車の回る速さが半周ずれてしまうと、水車が回るのと逆方向に波が来てしまい、水車は止まります。オールも動かなくなります。お風呂で波を起こした後、逆向きに波を起こしてみてください。まさに実感できます。 水車に荷物を載せる際は、波の強さをあらかじめ強くしておき、水車がずれないよう勢いをつけておく必要があるのです。電気でも同じことが起きます。突然大勢の人が電気を使い始めると発電所のタービンと家の家電製品が同時に停止する「脱調」と呼ばれる現象が起きます。これが電気が足りなくなると停電が起きる原理であり、電気はためられないという最大の理由です。当然ながら原理の異なる直流ではおきません。 繰り返しになりますが、運べるエネルギーが少ないため、直流は使われません。実は交流は輸送途中で電圧を簡単に変えられるという特徴があり、輸送効率が良くできるという重要な利点があるのですが、それはまたの機会にご説明します。なお、交流ではトランスを使って電圧が簡単に変えられるという話は高校の電磁気学で扱います。 |
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